<アマチュア無線の知識>
2007/12/07 日記<アマチュア無線>
アマチュア無線
アマチュア無線(アマチュアむせん)とは、通信技術への興味を満たしたり、同好の仲間との対話を楽しむために、事業ではなく趣味として行う無線通信である。他の無線通信と同様に、運用を希望する場合は当該国の免許を受ける必要がある。愛好者を「アマチュア無線家」「ハム」(「豆知識」にて詳述)と呼ぶ。
概説
アマチュア無線の免許に年齢制限はなく、世代を問わずに楽しめる趣味である。国際法・国内法ともにアマチュア無線は「個人的な無線技術の興味によって行う自己訓練、通信及び技術的研究の業務」と定義がされている。(→ #条約・法律上の定義) 免許制度の内容は国によってまちまちである。日本で無線の免許と言われているものには、「無線従事者免許」と「無線局免許」の2種類があり、アマチュア無線技士の資格は、第四級〜第一級アマチュア無線技士の4種が存在する。アマチュア無線局は(世界中の無線局と同様に)識別信号(呼出符号、コールサイン)を有しており、それにより、国、地域、及び運用者が判別できる。(→#免許制度) アマチュア無線で使われる通信方式には主として電話通信と電信通信がある。(→#通信方式) 楽しみ方には、ラグチュー(雑談)、DX(遠距離通信)、コンテストなどがある。また、QSLカードの交換や、アワードを目指すことや、機器を自作 (アマチュア無線)|自作することも楽しみとされる。( →#楽しみ方 ) 自身の楽しみだけでなく、アマチュア無線は非常時の通信手段として社会貢献することもある。が、これについては議論もある。(→#社会貢献 )日本でのアマチュア無線の歴史は大正末期に「私設無線電信無線電話実験局」として認可された事から始まる。1970年代にはブームになり、1980年代には米国を抜いて世界最大のアマチュア無線人口を擁するに至った。だがその後、携帯電話やインターネットが普及したこともあり、現在ではアマチュア無線家は減少傾向にある。(→ #歴史)インターネットに比べてアマチュア無線は法律上、発信者の身元保証や通信内容について厳格に規定されており(虚偽の通信の禁止と罰則規定―電波法第106条)、法的には通信内容の正確性が担保されている。電気工事、電話工事関係など、特にハム(アマチュア無線家)人口の多い職種も存在する。
歴史
無線通信技術の商業利用が始まる前の時代では、グリエルモ・マルコーニ|マルコーニに代表される個人の研究者が技術的興味を満たすために無線機器を作って無線通信を行っていた。つまり、すべての無線がアマチュア無線だったのである。商業利用が始まってからも、無線通信技術の進歩にアマチュア無線家が果たした役割は絶大であった。特に当時は全く利用価値がないと思われていた短波帯を、低電力で全世界と通信可能な周波数帯であると確認した事は、全世界の研究家たちの業績に他ならない。そのため、タイタニック#タイタニック号事故|タイタニック号事件を契機として国際的な電波管理の枠組みが構築され、電波の国家管理が始まった後の時代においても、アマチュア無線の保護には格別の配慮が図られ、幅広い周波数帯の利用が認められた。現在でも、中波からマイクロ波までの様々な周波数帯がアマチュア無線に割り当てられている。日本でのアマチュア無線の歴史は、無線の実用化たる日本放送協会|東京放送局(JOAK、現NHKの前身)のラジオ放送開始に先駆ける事数年、大正末期に「私設無線電信無線電話実験局」として認可された事から始まる。当時の電波は国家に管理されており、JOAKと言えども私設局に過ぎなかった。昭和に入ると国家総動員体制に組み込まれていき、各地で「無線義勇団」「国防無線隊」が結成される。しかし1941年12月8日太平洋戦争の開戦に伴い、同日、私設実験局の運用は禁止された。再開されたのは、戦後独立を回復した後の1952年のことであった。その後は、高度経済成長と、科学技術に対する国民の高い関心を背景として、日本のアマチュア無線は大いに発展し、1970年代には「趣味の王様」と呼ばれるブームとなり、1980年代には米国を抜いて世界最大のアマチュア無線人口を擁するに至った。アメリカ合衆国では、公共サービスとして地域パレードの通信などを行うなど、趣味の範囲を超える運用がされることがある。米国では開拓時代から現代までボランティアが大きな役割を果たしており、ボランティア活動にアマチュア無線が貢献してきたことから、国際法でのアマチュア無線の定義の範囲を超える運用を国内法で認めている。因みに、米国のアマチュア無線家の全国団体はアメリカ無線中継連盟 (ARRL:American Radio Relay League) と言うが、これはボランティア活動のための通信を中継して広い国土に伝えるために、アマチュア無線家を組織化したことに由来する。かつては外国の武力侵入があった際に、放送・商業通信が全て統制された中で、政府当局の厳しい監視を掻い潜り、スパイさながらに事件を世界中に伝えた事もあった(プラハの春#軍事介入とその帰結(チェコ事件)|チェコ事件)。現在の日本ではアマチュア無線家は減少傾向にある。これには以下のような理由があると見られる。
これらに比べて、アマチュア無線は免許(資格)の取得や監督官庁への開設手続きが必要であるなど、始めるまでのハードルが高い(後述の#免許制度や別項のアマチュア局の開局手続きも参照)ことが原因としてある。さらに、アマチュア無線をする人々が「ロマン」と感じる事柄に関しても、日本国内では「暗い」「意味がない」というイメージが浸透していることも原因のひとつである。携帯電話に象徴されるように高度化した現代の無線通信技術においては、アマチュア無線家の果たす役割は相対的に減少した。
近年、周波数の枯渇が叫ばれるようになっており、趣味でしかないアマチュア無線が占有している周波数帯、すなわち一種の既得権益を減少させるべきではないか、という意見も多く聞かれるようになっている。また、アマチュア無線に対する日本国内のイメージも「King of Hobby」から「オタクの趣味」と変化してきており(雑誌「ラジオライフ」等により、"無線=盗聴"のイメージが流布された事も一因である)、趣味人口は減少している。こうした昨今の事情を反映して、例えば
といった状況がある。このようにアマチュア無線を取り巻く日本国内の環境は明るいものではない。
条約・法律上の定義
無線通信技術への貢献が評価されて周波数帯の利用を許されたことから、国際法・国内法ともにアマチュア無線は「個人的な無線技術の興味によって行う自己訓練、通信及び技術的研究の業務」と定義がされている。「国際電気通信連合憲章に規定する『無線通信規則』」における定義
免許制度
アマチュア無線を開局するには免許を受ける必要があるが、免許の制度は各国によって異なる。
日本の制度
アマチュア無線に限らず、日本で無線の免許と言われているものには、
の2種類があり、無線局免許を与えられた無線設備を、無線従事者が運用することが求められる。詳細はアマチュア局の開局手続きを参照されたい。
日本においては、アマチュア無線に限らず無線従事者資格に年齢制限は設けられていない。そのため小学生の合格者もしばしば見受けられる。だが仮に試験に合格しても、開局までにはかなりの日数と数万円の手続き費用(無線機などの機材代は除く)がかかる。このような手続きは公共財としての性格が強い電波を公正に利用し、混信を防ぐためのものであるが、アマチュア無線の敷居を高くする要因にもなっている。日本のアマチュア無線技士の資格は、下位資格から次の種類に分かれている。*第四級(旧・電話級)アマチュア無線技士
ノーコード・ライセンス
日本のアマチュア無線の免許制度の特徴として、入門級である第四級(旧電話級)はモールス符号の技能試験がないノーコード・ライセンスであることが挙げられる。かつて国際電気通信条約では短波帯を運用する無線従事者にはモールス符号の技能を求められていたにもかかわらず、空中線電力が小さいことを理由に、日本では短波帯の運用を電話級にも認めた。上級資格を取得すると、扱える空中線電力が大きくなるが、そもそも日本では住宅事情からして大出力無線の運用が難しい。後述する米国の資格などに比べると、資格取得が容易でアマチュア無線人口の拡大に貢献し、通信機産業の育成に役立った反面、アマチュア無線家の質が低くなり違法な運用が増えた、上級資格を取得するモチベーションに乏しいので科学技術の発展に貢献しなくなった、という批判もある。なお、現在では業務用通信のほとんどでモールス符号が廃止され、その重要度が低下した事から、アマチュア無線においても国際電気通信連合憲章に規定する無線通信規則からモールス符号の技能要求は削除されている。そのため、日本と同様のノーコード・ライセンスを導入する動きが各国に広がっている。
個人局と社団局
日本のアマチュア局の無線局免許には
の2種類がある。社団局は、学校や職場、地域などのアマチュア無線クラブが開設する。博物館などの科学教育施設や、福祉施設などにも社団局が設置されていることがある。アマチュア無線クラブのすべてが社団局を開設しているというわけではなく、むしろ社団局を持たないクラブの方が多い。
呼出符号(コールサイン)
他国の免許制度
免許制度の内容は国によってまちまちだが、例えばアメリカ合衆国では、下位資格から順に次の種類に分かれている。所管は連邦通信委員会(Federal Communications Commission―FCC)。
ノビス級、アドバンスト級の区分は廃止されたが、すでにこの資格を持つ者の運用・更新は可能である。かつてはすべての区分にモールス符号の試験が課されたが、現在では各級においてノーコード・ライセンスとなっている。(後述)日本では自信があれば初めから最上級資格に挑戦出来るが、アメリカでは最下位資格から順にステップアップする制度となっている。試験はElementと呼ばれる単位に分かれており、それぞれの対応は以下のようになっている。
以前は、エクストラ級を取得したい場合は、Element 1からElement 4のすべての試験に合格する必要があったが、2007年2月23日を以て各級のElement 1の要件は廃止されたため、エキストラ級はElement 2からElement 4の合格が条件となる。
Element 1撤廃以前は、Element 2に合格し、かつElement 1に合格した場合には限定的に上位資格で許可される帯域の一部において運用することができた。撤廃後はElement 1に合格していない場合においても、それまでのテクニシャン級保持者は自動的にElement 1を合格している場合の免許に基づいた資格範囲で運用することができる。この改正により、全ての級において事実上モールスの送受信の能力は求められなくなったものの、制度上、Element 1が消滅したわけではなく、合格の事実はFCCのデータベースに継続して記載されている。試験問題約1700問は全てインターネット上に公開されていて新問の出題は無いのでちゃんと勉強して受験すれば合格は比較的容易である。中学校程度の英語の知識が必要。日本でも「4級3級は正答丸暗記で取れる」などと軽蔑する人がいるが、これは日米変わるところはない。強いて言えば言語の壁がある分FCC免許の方が少々厄介な程度である。尚、試験はFCCが認定するボランティア試験コーディネーター(VEC)により認定されるボランティア試験官(VE)により実施される。VEは有効な免許を持っている者ならVECの認定により、誰でもなることができ、自分の級以下の試験を監督することができる。つまり、General級VECはTechnician級の試験が監督できる。尚、Extra級のVECは全ての級の試験を監督することができる。不正を防ぐために試験に3人以上のVEの参加要件や、近親者に対する試験は無効となるなどの制限がある。また、FCCはいつでも免許人に対する試験を直接実施する権限を持ち、これは特定のVEC、VE、試験者の正当性に疑問がある場合において行われる。
VEによる試験はVEがその必要経費を回収する目的で、試験者から法で設定される最高額以下の手数料を徴収することができる。多数のVEにおいて手数料は同一セッションで合格した試験に対するものであり、例えばElement 2からElement 4まで合格した場合はElement 2のみ合格した場合と同一の手数料となる。尚、不合格であった場合において、再試験を同一セッションで許諾するか、また、追加の手数料を徴収するか否かについてはVEの裁量及び、試験用紙の残り数などにより判断される。日本と比べて初級資格でも比較的大電力の空中線電力を扱える(級問わず最大1.5kW)一方、周波数帯の制限は厳しく、日本の局がFCCの監視局から郵政省(当時)を通じて周波数逸脱を警告された例もある。資格区分によってコールサインが変わり、また資格者の情報はデータベース化されていて誰にでも参照できるので、資格外運用を容易に判別できる。そのため、上級資格を取得するモチベーションを刺激される制度だと言える。ただし、資格区分によるコールサインの変更は資格保持者の任意であるため、コールサインのみで資格を判断することが困難な場合があるので注意を要する。また、日本でいう無線従事者免許証と無線局免許状が一体となった包括免許方式であるため、資格内での運用である限り無線機の登録などは必要なく、しかも資格の取得の定義が「FCCデータベースに入力された時点」なので、無線機が手元にあれば、登録を確認し次第すぐに運用を開始することができる。
外国での免許取得
一般に外国でアマチュア無線を行うためには、その国の免許を取得する必要がある。しかし以下の国とは、日本のアマチュア無線資格を持つ者に相手国での運用を認めてもらう一方で、相手国のアマチュア無線資格を持つ者にも日本での運用を認める相互運用協定を締結している。
通信方式
アマチュア無線で使われる通信方式には以下のようなものがある。
電信
:; モールス符号|モールス符号による無線電信
:: 電波型式A1Aの場合、一定周波数で一定振幅の電波(CW)の断続によりモールス符号を送信(必ずしも手送りとは限らない)し、音響により受信する。
::モールス符号による通信は、すでにデジタル技術に取って代わられ、業務用無線では一部の海事や軍事用途を除いて廃止された。しかしモールス符号による通信には以下のような特長があるため、アマチュア無線では愛好者が残っている。
::*占有周波数帯幅が狭い。最大500Hz以内。
::*混信に非常に強い。
::*電波が弱くても明瞭に通信ができる。
:::※但し、この特長はモールス符号による無線電信によるものではなく、単に通信速度が遅いために得られる特長である。デジタル通信をモールス符号による無線電信と同程度の通信速度でおこなった場合、同等以上の周波数利用効率、品質で通信が可能である。また、WSJTというノイズレベル以下の信号でも通信できるなどモードが開発されるなどモールス符号の優位性は以前ほどではない。また、世界的なノンコードライセンス化の流れも受けつつある。
::特に、大戦中の軍隊や業務通信上がりのベテラン層に和文モールス通信の愛好者が多く、国内との通信が主体となる3.5・7・144・430MHzに多く出ている。しかし、アマチュア無線の場合、内容的には通常の「ですます体」の会話をそのままモールス符号に置き換えているために、通信効率が著しく落ちる問題があり、モールス通信の敷居を高くする原因の一つになっている。
::*(欧文モールスでは)略符号やQ符号を並べて打電するだけでよく、喋る必要がないので、外国語が苦手でも外国人との通信に困らない(無線の世界で「ラバースタンプ」(ゴム印)と呼ばれる)
::*遠隔地への通信手段として考案され、有線・無線を問わず長らく利用されてきたため、業務用としての利用が終了した現在でも、格別のロマンを感じて運用を続ける愛好家も存在する。
:; 印刷または画面表示によるラジオテレタイプ (RTTY)
:: 古くは機械式のテレタイプ端末と、これを無線機に接続する為の変復調器によって運用され、ある程度の知識がないと機材を揃えるのが困難だった。加えてテレタイプライターの発する騒音がしばしば愛好家の悩みの種となった(座布団の上に端末を載せ、その上から毛布をかぶせるという試みまであったという)。しかし、現在ではパーソナルコンピュータ|パソコンのサウンド入出力端子に簡単なインターフェースを介して無線機を接続し、ソフトウェア(例:MMTTY等)でRTTYの送受信ができるシステムが開発され参入が容易となったことと、欧数記号のみしか扱えなかった従来のRTTYと違い日本語の文字通信も可能なPSK31といった通信方式も現れたことにより、より運用し易くなった文字通信はアクティブさを増している。現在RTTYを運用している局の設備の多くは、パソコンとソフトウエアによるものになっている。
電話
: 短波帯では、占有帯域幅が狭く遠くまで電波の届く振幅変調|SSBが、超短波|VHF以上では音質の良い周波数変調|FMが使われることが多い。また自作が容易であることから、周波数に余裕のある50MHz帯や28MHz帯では振幅変調|AMも愛好者を中心に使用される。デジタル方式による音声通信も一部で行われているが、まだ主流ではない。
画像通信
: テレビ放送と同一規格の映像をやり取りするATV形式と、SSTV(低速度走査=スロースキャンテレビ)と呼ばれる形式がある。
:前者は1秒間に30枚の画像を送受信する。周波数を広く取る(最大占有周波数6MHz)ため、バンド幅の広い1200MHz以上の周波数で行われる。
:後者は1枚の静止画像を数秒〜数十秒かけて送受信するものである。古くはスキャンコンバーターという装置が必要であったが、近年ではスキャンコンバーターに代わりパソコンを使用する。周波数幅は音声と同程度以下(アナログSSTVの場合1500Hz程度、デジタルSSTVの場合2500Hz程度)であるため、SSB変調して短波帯で通信ができる。
: 古くから存在するが、実際の運用例は多くはない。市販FAXとアマチュア無線機とのインターフェース製作の問題がある。旧電電公社のミニファクスの払い下げ品が、ジャンク品市場に大量に出回った1985年頃には、ミニファクスをアマチュア無線に使用する改造が流行した。
データ通信
: パソコン通信やインターネットが利用されている。商用のものと比較して安定度や速度といった実用性では劣るが、技術を理解する楽しさがある。定額制接続の、いわゆるブロードバンドインターネット接続|ブロードバンドの開始以前は、ダイヤルアップ接続のような通信料のかからないアマチュア無線のパケット通信が多く使われていたこともある。
楽しみ方
ただ交信して雑談をするだけでなく、アマチュア無線には多様な遊び方がある。主なものを以下に紹介する。
交信を楽しむ
ラグチュー
ラグチューとは、いわゆる雑談のことである。アマチュア無線が見知らぬ友人を求める趣味であることを思えば、ラグチューこそアマチュア無線の基本であるとも言える。その一方で、アマチュア無線家による技術研究と社会貢献が、今日のアマチュア無線の社会的地位と割り当て周波数帯に反映されていることも確かであり、ただ雑談をするだけではアマチュア無線技士の名に値しないという批判もある。また、携帯電話が普及する前は、友人たちとのラグチューが目的でアマチュア無線を始める者も少なくなかった。
遠距離通信 (DX)
DXとは、短波帯においては海外、超短波|VHF以上では見通し距離外の局との通信を目指す、遠距離通信のことをいう。単純に無線機の出力を上げることで通信距離を伸ばすこともできるが、敢えて小電力で遠距離との通信に挑むこともある。安定に交信を行うためにはアンテナの整備に力を入れる必要があり、熱心なDX愛好家は20m以上の大型タワー(一般に言う無線鉄塔)に素子数の多い八木・宇田アンテナなどを設置している。また、日本のように狭い国土でも地域によって電波伝播特性が異なるため、目指す地域との交信をするには、設備だけでは望みの成果が得られず、自ら通信に適した場所への移動運用を試みることもある。海外のアマチュア無線家とのお喋りを楽しみ、近況報告などし合う間柄になると、相手から“機会があったら当地に遊びに来られたし、歓迎する”などと招かれて渡航し、直接面会して旧交を温めたりする例もある。アマチュア無線家が民間外交官と呼ばれることがある所以である。最近はパケット・クラスターという極超短波帯(VHF、UHF)での、ネットワークが構築され、「珍局(その名の通り、滅多にオンエアしない局)」等が出現すると、周波数やロケーションが、リアルタイムで入手できるようになったので、従来のようにコツコツと自分で周波数帯を隈なく聴き続ける(ウォッチする)ことが減少しつつある。また「珍局」と交信するために、免許された以上の高出力で、交信を成立される者も以前から現れている。さらに「珍局」自体がニセモノである場合もある。このようにして海外の100カントリー以上と交信が成立した場合、:en:DX Century Club|DXCCという世界的に権威のあるアワード (アマチュア無線)|アワード(賞)を受けることができる。この審査は極めて厳しい。時に(特に極超短波帯以上で)仲介の役目をするホスト局が登場し、A局とB局の交信の橋渡しをすることがある。ホスト局は2局の信号を十分に受信できる場所にあり、A局が呼びかけている状況をB局に伝えてアシストするものであるが、これについては賛否両論ある。アイボールQSOとは、直訳すると''目玉交信''という意味で、普段は無線を通じて話している友人が、直接面会して目と目を合わせて話すことから、このように呼ばれる。友人を求める趣味としてのアマチュア無線は、最後はここに行き着くと言ってよいだろう。インターネットのオフラインミーティングと同じものであるが、アマチュア無線のアイボールQSOは国境を越える事になる事が珍しくない。なお、「QSO」は一対一で会う場合で、複数が集まる場合はやはり「ミーティング」となる。
コンテスト
コンテスト_(アマチュア無線)|コンテストとは、主催者が定めるルールに従い、参加者同士で規定の時間内に、より多く、より遠くとの交信を行って得点を競い合う競技である。交信局数×交信地域数を得点とするルールが多い。日本アマチュア無線連盟が主催する主なものとして、より多くの市町村に位置する無線局との通信を目指す全市全郡コンテストなどがある。また、全世界の参加者を対象とする大規模なコンテストも年に何回か開催され、DX愛好家が腕を試すチャンスとなっている。国内で行なわれるコンテストは24時間が普通(2時間〜半日のスプリント、一週間・一ヶ月かけるマラソンもあり)だが、世界的に行われるものは時差の関係から48時間となる。コンテストでは普通、交信証明としてコンテストナンバーを交換する。一般的に「CQ」をかけて呼び出されるのを待つ局(ホストなどと称される)となるか、「CQ」を追いかけてコールするか、のどちらかになるが、前者には、後者が呼びかける「コールサイン」が重なる状態となる。これをパイルアップと呼ぶが、ホストは、パイルの中から、コールサインを瞬時に聞き取り、交信を交わす。お互いの交信が確認できた場合、「QSL(交信成立)」を交換する(QSLカードの交換とは別)。従って、短波帯CW、SSB、AMの場合は、パイル状態でも、音声が重なって聞こえるため、一度呼び出された時に、多くのコールサインを聞き取り、スタンバイしている局を呼び出すで交信局数を増やすことができる。FM変調では、弱い電波は強い電波に消されてしまう特性を持つが、ここでも時間差でコールサインを素早く多数聞き取ることがポイントとなる。ホスト局の方は、弱い局から拾って行くのが一般的である。また呼びかける局にとっては、自局の電波出力が弱いか、あるいはコンディションやホストの耳が弱い(=受信感度が悪い)ことにより、何度呼びかけても応答されないことがある。その場合は、呼出している局を探すこととなる。このように短時間でより多くの局と交信すること、その中で珍しい局と交信ができること、刻々と変化する伝播状況によって交信可能エリアも変化し、短時間でAJD、WAJA、JCC-100などが達成できることがコンテストの醍醐味である。ただ、DX通信と同様、交信を成立させるために免許された以上の高出力で運用する者がいることは否めない(オーバーパワーと呼ばれる法令違反)。
アワード
アマチュア無線のアワード (アマチュア無線)|アワード(賞)は、積み重ねた交信が決められた条件を満たしたときに与えられる賞である。ただ漫然と交信するのではなく、ある目的を持って通信するための方法を模索するきっかけや、長期的なハムライフの目標として愛好されている。アワードの取得のために交信が難しい地域と交信するために設備を増強したり、あるいは自ら交信を達成しやすい場所に行って#モービル|移動運用することもある。発行団体は、各国のアマチュア無線家の団体のほか、企業や公共団体などが記念事業として発行する場合もある。以下に、日本アマチュア無線連盟(JARL)が発行するアワードを紹介する。
QSLカード
アマチュア無線家には、交信をすると、その記念となるQSLカード(交信証)を交換する習慣がある。QSLカードを収集すること自体がアマチュア無線家にとって大きな楽しみのひとつであるほか、アワードの申請に必要な証明書類としてQSLカードの提出を求められることが多い。また、QSLカードがいっぱいある時、送料が多くなってしまうが、JARLに加入すると、送料が安くなる。
外に出ることを楽しむ
アマチュア無線とは無線機を通して他者と対話するものであるため、ともすれば自室のシャック(無線室)に引き込もりがちである。しかし街や野山に無線機やアンテナを連れ出す移動運用にも格別の楽しさがある。自宅からの電波が届く範囲外の局とは、自分から出向いて行ってそこから電波を出すことで交信の範囲を広げる、という人もいる。また、普段交信できないところへ出張や旅行に行ったついでに、宿泊したホテルの窓や近場の公園からハンディ機などで簡易移動運用を行う者もいる。移動運用を行うもっともよくある理由は、その交信範囲の広さによるところが多い。電波は一般的に発射する場所の環境に伝搬が大きく左右されることから、高原や山の上など見晴らしのいい場所、または周囲に遮るものがない開けた場所などに移動して、普段自宅からでは楽しめないような広大な通信することを楽しみとする人も多い。特に、マンションや昨今の住宅事情等で電波の発射に障害となる建物が周囲に多かったり、自宅に大型のアンテナや高いタワーを建設できない無線家にとっては、大規模な設備と大型のアンテナを使用した移動運用こそ普段交信できない遠距離通信を楽しめるとして、自宅ではなく移動運用を主な無線の楽しみとしている無線家も多くいる。そのため、移動運用のために本格的な登山をはじめたり、興味がなかったキャンプ道具、自動車を購入した者も少なくない。また、単独で行う移動運用もあるが、複数人で集まって行う移動運用は(コンテストなどの殺伐としている場合を除き)さながら楽しいキャンプのようであり "自宅で細々と" という「理系の趣味」の印象を覆すような社交的で人間的な活動で、無線をきっかけとして楽しみが広がるよい例である。また、これらの場は先輩である OM 諸氏から実地でノウハウを教わったり知識を授けてもらったりと、後輩無線家を育成し、交友範囲を広げる良い機会となっている。国内の移動ばかりでなく、海外に設備とキャンプ装備一式を担いで行き、無人島や定住アマチュア無線家のいない地域から電波を発射して全世界からの交信リクエストに応える「DXペディション」(DX+Expedition―冒険)という運用法も存在する。
モービル
モービルとは、自動車やオートバイに小型の無線機とヘッドセットやマイクシステムを組み込み、移動して通信実験を行う事を指す。長い歴史のあるモービルハムは、安全運転のために様々な技術的研究を積み重ねており、運転中の携帯電話のような事故とは無縁であったが、運転中の携帯電話が法規制されると共に使用方法によっては法規制の対象となった。
フォックスハンティング
アマチュア無線家が用いるアンテナには指向性を持つものも多く、2点以上の場所から電波の方向を調査することで、無線局の場所を推定することができる。実際、沿岸地域にある複数のアマチュア無線局が、海難信号を送出している船の位置を協力して探索し、救助に協力することはしばしばある。こうした空中線の特性を利用した遊びとして、古くからフォックスハンティングが行われてきた。これをオリエンテーリングに似たルールで競技化したものがARDF(Amateur Radio Direction Finding)であり、信号を発しているポールを求めて、小型の空中線と受信機を持ち、全部を発見するまでの速さを競う。ARDFは自分の足で野山を走り回るハードなスポーツであるという点で、他のアマチュア無線の楽しみ方と大きく異なる。ARDFは旧共産圏の諸国を中心に盛んに行われてきたが、西側諸国にも広まり、世界大会が開かれている。日本でも毎年全国大会が開催されている。
自然物・自然現象を利用する
短波帯の電波伝搬は電離層での反射が前提となるので、それ自体が自然現象を利用していることになる。このような自然物・自然現象を利用した通信は不安定であるため、商用通信では嫌われる傾向にあるが、アマチュア無線では不安定さが逆にチャンスを掴み取る(どこが聞こえるか・どこから呼ばれるか分からない)面白さになっている。
電離層
無線通信は、必ずしも直接電波が届くものとは限らない。短波帯では、上空の電離層と地表との間で反射を繰り返しながら、地球の裏側まで電波が届く。直線距離で最も近い経路とは別に、地球を逆に回ってきた電波(ロングパス)が一緒に届くと、エコーがかかったように聞こえることもある。電離層には下層から順にD層、E層、F層という名前がついており、これらの電離層は中波から短波帯までの電波を反射する。
スポラディックE層
初夏から夏にかけて多く局地的に発生する電離層E層付近の強力な電離層を「スポラディックE層(Eスポ)」と呼ぶ。EスポはVHFまでの電波を反射するため、ラジオやテレビにとっては混信の発生源となる迷惑者だが、アマチュア無線家にとっては普段交信できない地域と交信するチャンスである。Eスポが発生するかどうかはある程度予測可能であり、また太陽活動の変動に伴い「当たり年」となることもあるため、これを狙って通常その周波数帯では不可能な遠距離通信を試みることが出来る。SSN(Sun Spot Number―太陽黒点指数)、「サイクル」という活動期―停滞期の繰り返しが太陽活動の状況を調べる手がかりとして重視されている。
月面反射通信 (EME)
電波を反射させる相手として、より遠い月を選ぶのが、Earth-Moon-Earth|月面反射通信(EME=Earth-Moon-Earth)である。スタック化した八木アンテナ、またはパラボラアンテナを月に向け、電波を反射させて相手局が受信する。反射する電波は微弱であり、かつ月は移動するため、通信をしない電波天文に比べて大がかりな設備(大出力の送信機、高感度の受信機、指向性の高いアンテナ)を必要とし、またモールスによる、交信用の特別な単文字符号が用いられる。
流星散乱通信 (MS)
宇宙空間の微細な塵が大気に突入する際に大気中の原子を電離させると、一時的に微小な電離層が発生したようになり、そこで電波を反射することがある。通常の電離層と異なり存在する場所が限定されるため反射された電波を受信できるのはごく一瞬のうちである。年に何度かある流星群の時期にはある程度連続して現象が発生するためこの時期を狙って交信を試みる実験がある。一般的にはMBC(Meteor Burst Communication)ともいう。
中継設備を利用する
個人が開設しているものから、日本アマチュア無線連盟が開設しているものまで、様々な中継設備が運用されている。これにより電波の届く範囲が広がる。
アマチュア衛星通信
宇宙空間にはアマチュア無線家によって製作された、アマチュア無線のための通信衛星であるアマチュア衛星が打ち上げられている。衛星には通信を中継する機能や、地上から送信された信号を一定時間記憶し再送出する機能が搭載されており、電話・電信で直接交信するほか、コンピュータをアマチュア無線機に接続し文章をやりとりしたりする。ただし、アマチュア衛星は静止軌道には投入されておらず、通信中はアンテナで衛星を追尾する必要があるため、これもある程度の慣れまたは設備を必要とする。
レピータ
アマチュア無線のための中継設備は地上にもある。見晴らしのいい山頂やビルなどにレピータ(レピーター、リピーター)と呼ばれる中継局が設置されており、その中継局を介して通話をすることができる。レピータを使用すると、見通し距離を大きく超える遠距離通信を安定的に実現できる。レピータは多数のアマチュア無線家が使用するため、短時間で要領よく通信を行うことが求められる。いわばアマチュア無線用の“無料公衆電話"。主に極超短波|UHF(430MHz・1200MHz)帯で運用されている。
ホーンパッチ
中継に有線通信を用いるのがホーンパッチ(フォーンパッチ)である。通信の途中に電話網|電話回線やインターネットによる中継を挟むことで、直接電波が届かない地域との通信を実現する。欧米では古くから実用化されていたが、日本においても法律が改正されて、一定の範囲内であればアマチュア無線機と商用通信網の接続が認められるようになった。 しかし、携帯電話が普及した後の法改正であったため、利用者は少なく、現在の日本では機材(パッチャー)もほとんど見かけない。※ここで言うホーンパッチは有線用の電話機から公衆回線を通じてアマチュア無線に接続する形態、つまり電話機側の人がハムでない事もあり得るタイプであり(第三者通信。アメリカで普及)、インターネットを中継回線として互いが無線機を用いるD-STAR(ケンウッド、アイコムと日本アマチュア無線連盟で推奨)やWiRES(バーテックススタンダードで提唱)、Echolink、eQSO、IRLP(いずれもフリーソフト)とは異なる。
その他
パケット通信
アマチュア無線を用いたデータ通信である。OSI参照モデルに基づき、各階層でのプロトコルやサービスが開発されている。データリンク層プロトコルとしては、パケット交換方式であるAX.25が事実上の標準規格であり、このことからパケット通信と呼ばれるようになった。上位層では、RBBS(Radio BBS)が運用されているほか、TCP/IPを実装してインターネットと接続することも行われている。詳細はアマチュアパケット無線の項目を参照されたい。
小電力通信 (QRP)
QRPとはQ符号の一つで、空中線電力を下げることを意味する。転じて、アマチュア無線家の間では、あえて小電力の無線機で遠距離との通信に挑む遊び方を指す。通常QRPと言うと空中線電力5ワット以下での運用のことを言うが、下限はないので、0.1ワット以下での通信に挑戦することもある。大電力に負けない成果を出すには、指向性が強くて空中線電力|実効輻射電力を稼げる大型アンテナの使用や、微小な信号を聞き分ける高度な通信技術、そしてEスポなどの自然現象を味方につけることが要求される。小電力にすると、
といった利点もある。免許制度や住宅事情の影響もあり、日本のアマチュア無線家には特にQRPの愛好者が多い。詳細はQRPを参照。
アパマンハム
アパートやマンションなどの共同住宅のベランダや屋上にアンテナを設置するアマチュア無線家のことを「アパマンハム」と呼ぶ。無論アパマンハムには他の住人の迷惑にならないよう格別の配慮が必要である。小型・高性能・安全なアンテナが要求されるため、その技術的研究が盛んに行われている。また、過去に違法局によるものを含むテレビなどへの受信障害などのトラブルが多発した共同住宅では、大家や管理組合の意志によりアマチュア無線自体が禁止されている場合もある。
自作
上に挙げた通信の中には、市販の無線機器のみでは実現が難しいものもあり、必要な機器を自作 (アマチュア無線)|自作する必要に迫られることもある。一方で、もともとアマチュア無線は技術研究を楽しむ遊び(趣味)であるため、市販の無線機器を買えば済むことであっても、敢えて自作に挑戦するアマチュア無線家も多い。これは、市販のパソコンを買えば用が足りるのに、あえてパソコンを自作するパワーユーザーに似ている。詳細は自作 (アマチュア無線)の項目を参照されたい。
社会貢献
科学技術の発展に対して、アマチュア無線が果たしてきた役割は大きい。だがアマチュア無線の社会貢献はそれだけではない。
非常通信
アマチュア無線の通信が報道等で報じられるケースとして、非常通信が挙げられる。電波法でも総務大臣命令により行なわれ経費実費が補償される「非常の場合の無線通信」(法第74条 但し発動された例は未だない)、また無線局の判断で行なう「非常通信」(法第52条第4号)は規定されており、社会貢献活動としては異論の無いところであるが、アマチュア業務本来の趣旨(「条約・法律上の定義」を見よ)からは逸脱している部分も多く、その運用方法に関しては様々な意見がある。非常通信が優先され、また非常時の法定符号を前置する事でその交信が最優先扱いとなる取り決めになっている。ただし、通信設備を有していても無線局の免許を得ずに運用した場合は、電波法に基づき罰せられる。また、無線局の設置場所・空中線電力・周波数および電波形式は自分の受けた免許状に記載された範囲を逸脱してはならない。携帯電話が普及した現代でも、地震などで通信インフラが破壊された時にはアマチュア無線が被災地における唯一の通信手段となることがある。一部のボランティア団体が防災目的でアマチュア無線局を開設している場合もあるが、非常通信を目的とした無線局の開設はアマチュア無線局の開設理由および通信の目的とは逸脱しており、これは法令上認められていない。しかしながら、昨今はアマチュア無線家の減少による発言力の低下を懸念し、社会貢献をアマチュア無線による電波利用のアイデンティティとして世間へのアピール手段として誇張するあまり、マスメディアで注目を浴びやすい災害時や山岳遭難における非常通信(およびそれに近いもの)をあたかもアマチュア無線の開設目的として正当に通じるかのような対応を取り始めた団体・個人も出現しており、それを受けて堂々と 「非常通信を目的としてアマチュア無線局を設置した」 と発表するボランティア団体が登場してしまっている。加えて、遭難時の最終手段として使用するためだけにアマチュア無線局を開設しアマチュア無線機を持参する登山家すら擁護する意見が出てきている裏には、そうした衰退したアマチュア無線の存在意義の世間へのアピールという政治的理由や、売れることが重要である無線機メーカーおよび販売店の思惑があると思われる。山岳遭難事故ではアマチュア無線家の協力で救助活動が行われることが多いが、今後は行政の責任において、技術研究目的であるアマチュア無線局にいつまでも頼る事の無いように望むところである('60〜70年代には市民ラジオが活用されていた)。なお、無線局が山岳遭難などで人命救助を求めるために、免許状に記載された目的または通信の相手方もしくは通信事項の範囲を越えて運用する場合の法的な根拠は「非常通信」(法52条第4号)に求める考え方もあるが、「その他総務省令で定める通信」(法第52条第6号)すなわち「目的外通信」(電波法施行規則第37条)のうちの第33号「人命の救助または人の生命身体もしくは財産に重大な危害を及ぼす犯罪の捜査もしくはこれらの犯罪の現行犯人もしくは被疑者の逮捕に関し急を要する通信(以下略)」に求める考え方もあろう。なお法的根拠を法律上の緊急避難に求める事も可能性としてはあるが、そもそも法律上の緊急避難は厳格に適用されるべきものであり、現場の安易な判断に頼るべきでもない(例として、「職務上特別の義務」がある者に刑法上の緊急避難は適用されないし、民事責任や行政処分(無線局免許)についてはまた別論となる)。;山岳登山で遭難した場合は「遭難通信(SOS)」か「非常通信(OSO)」か
:アマチュア無線局は総合通信局から発行される無線局免許状に従って運用される。免許状には「通信の相手方」「通信事項」「識別信号」「運用許容時間」「電波の形式及び周波数」「空中線電力」が記載されており、この記載内容を超えて無線局を運用することは禁止されている。また電波法第52条〜第55条の規定では[http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S25/S25HO131.html#1000000000005000000001000000000000000000000000000000000000000000000000000000000]、免許状の「通信の相手方」若しくは「通信事項」を超えた通信をしても良い場合として
:の6項目に限られている。「1.遭難通信」「2.緊急通信」「3.安全通信」は、全て船舶又は航空機に関連する条文あり、アマチュアの陸上同士の交信は不可となる。山岳登山で「遭難」しても、無線通信では「遭難通信」とはならない。仮に遭難したアマチュア無線家が船舶や航空機に乗っており他に通信手段が無い場合にはアマチュア無線による遭難通信が可である。
:「4.非常通信」は「地震、台風、洪水、津波、雪害、火災、暴動その他非常の事態が発生し、又は発生するおそれがある場合において」という前提が必要であり、基本的には自然災害が発生した発生しうる場合に行われ、自然災害によらない滑落や交通事故等においては非常通信ではない。
社会福祉
障害者、特に視覚障害者にとっては、アマチュア無線は社会参加の有力な手段の一つである。そのため、各地域の社会福祉施設にクラブ局が設置され、アマチュア無線の交信を通じて社会参加を図る場面が見受けられる。
特殊な場所のアマチュア無線局
特殊な環境下で観測などの業務を行っている科学者や技術者の中にはアマチュア無線の資格を持つ者もおり、業務時間外の余暇を当ててアマチュア無線局を運用することがある。運用に当たる者にとっても過酷な環境下で精神衛生上役立つほか、通信の機会の少ない場所との通信に価値があると考えるアマチュア無線家にとっても魅力的な運用となる。
国際宇宙ステーション
国際宇宙ステーションでは、アマチュア無線局ARISS (Amateur Radio on the ISS) が運用されている。各宇宙飛行士が余暇時間を用いて運用を行う。通常の通信の他に、教育を目的として、予め特定の学校と日時を決めて通信を行う、スクールコンタクトと呼ばれる運用も行われている(上級資格を持つアマチュア無線家の監督の下、特例として児童生徒が送信ボタン操作のみの無資格運用を許される)。コールサインにはNA1SSとRS0ISSが用いられている。他にスペースシャトルやミールでも同様の運用実績があり、それぞれSAREX、MIREXと呼んだ。
南極
南極にある各国の南極観測基地等にはアマチュア無線局が開設されていることがある。
日本の昭和基地では観測隊員によるアマチュア無線局8J1RLが開設されている。ドームふじ観測拠点には2003年に8J1RFが開局した。過去には、みずほ基地、あすか基地で8J1RMが開設されたことがある。
南鳥島
南鳥島には一般人は上陸できない。海上自衛隊・海上保安庁・気象庁の職員が駐在している。社団局JD1YAA気象庁HAMクラブが開設されている。南鳥島はオセアニアに属する。
富士山測候所
富士山#富士山測候所|富士山測候所は2004年夏を以って観測員常駐が廃止され、アメダス測候に切り替えられたが、測候所職員によるアマチュア無線社団局が運用されていた。
巣鴨
東京都豊島区巣鴨には日本アマチュア無線連盟の本拠地がある。JA1RLが開設されている。
イベント(博覧会など)
大きなイベント、特に国際的なイベントの際には記念局が開設されることがあり、来訪するアマチュア無線家が運用をする。局はアマチュア無線連盟直轄の社団局として扱われ、連盟会員であれば誰でも運用出来る(会員証と免許証を提示する義務がある)。アマチュア無線の交信は最もわかりやすい民間レベルの国際交流であるため、地球が狭くなった現代でも国際的なイベントには記念局が積極的に開設される。記念局で運用することはもちろん、記念局と交信することも、アマチュア無線家にとって文字通り記念になる。2005年日本国際博覧会|愛知万博でも8J2AIのコールサインで記念局が開設され、万博開催期間中に運用された。日本初の記念局は、日本万国博覧会|大阪万博会場に設置されたJA3XPOである。
豆知識
「ハム」の由来
アマチュア無線家(radio amateur)のことをハム(HAM)と呼ぶが、この言葉の由来には諸説ある。
アマチュア無線を題材にした映画
アマチュア無線を題材、あるいは物語の重要な要素に取り上げた映画として、『空と海の間に』(1955年フランス)、『復活の日』(1980年日本)、(1997年)、(2000年、以上2本はアメリカ)、『リメンバー・ミー』(大韓民国|韓国・2000年)など多くの作品がある。またスキーヤーに一時的にアマチュア無線が普及した契機として、邦画『私をスキーに連れてって』(1987年)があった。しかし免許を受けずに使用され、地元のアマチュア無線の運用に影響を与えた事例も少なからずあった。
「ミッドナイト イーグル」(2007年)は通信の手段としてアマチュア無線が登場する。
無線室をリアルに作り上げたのは株式会社バーテックススタンダードである。
アマチュア無線に用いられる用語
アマチュア無線においては、電話、電信ともに無線通信用語が特にアマチュア無線に適した形で変化したものが用いられている。無線通信では音声が不明瞭であったり、不安定な通信状態で簡潔に内容を伝達する必要からQ符号や通話表などの無線用語が定められている。アマチュア無線ではこれらの無線用語の他に、雑談などに用いる略語や俗語もある。
アマチュア・コード
アマチュア無線はあくまで趣味である為、本業が疎かにされてはならない。アマチュア達がのめりこむ事への戒めとして、日本アマチュア無線連盟が、1959年に法人化された際、社会人・市民として守るべき、以下の五つの徳目を定めた。これが「アマチュアコ−ド」であり、年次通常総会で唱和される。*アマチュアは善き社会人であること
かつてKing of Hobby(趣味の王様)と言われていた時期があった
今ではそうは呼べないと感じている人は多く、一時期に比べて下火になったと感じている人も多い右はあくまで一例 [http://72.14.235.104/search?q=cache:DpxBqm_6XvoJ:www1.odn.ne.jp/kentaurus/hobby.htm+%E8%B6%A3%E5%91%B3%E3%81%AE%E7%8E%8B%E6%A7%98&hl=ja&ct=clnk&cd=21&gl=jp]
。日本では1980年代後半〜1990年代前半あたりが全盛期だったのでは、と言われることがある。下火になった原因としては、以下のようなものが挙げられることが多い。*携帯電話の普及により、緊急連絡やちょっとした連絡をとりあうことができるようなった。
アマチュア無線に関連する諸問題
ルールを守らない運用の問題
日本国内におけるアマチュア無線の運用には、上述のように「無線従事者」の免許及び「無線局の免許」の2種類が必要となるが、これを取得せずにアマチュア無線を運用する例がある(不法アマチュア無線局)。また、無線局の免許を受けた局であっても、指定された周波数帯以外の周波数で運用したり、また、指定された空中線電力を超えて運用する者もいる(オーバーパワー)。さらに、アマチュア無線をアマチュア業務以外の用途に用いることは電波法令によって禁止されているが、現在でも、アマチュア無線を仕事やイベント業務その他に用いる例は多々見られる(目的外通信)。その他に、電波の形式及び周波数の使用区別(いわゆる「バンドプラン」)を逸脱した運用・コールサインの不送出・長時間にわたる周波数の独占など、運用上の解決しなければならない課題が山積していることも否めない。特に、トラックドライバー等によるそのような通信はここ数年で顕著となっている。当問題は以前から存在していた問題ではあるが、その背景には平成17年10月31日にパーソナル無線の事実上の終焉、および市民無線 (CB無線) の事実上の終焉が発表された事が挙げられる。当該発表はトラックや業務車両等でそれらを使用していた人々が、唯一の受け入れ先であり、かつより高出力で広帯域のアマチュア無線へと移行してくるきっかけとなった。その結果、以前はアマチュア無線の全盛期でさえ一部の周波数を占拠しているだけであった違法運用者が UHF/VHF におけるアマチュアバンド全域に登場するようになり、あらゆる周波数で CB 口調でコールサインを言わない雑談が延々と続き、大都市および主幹道路沿線では平日日中は本来のアマチュア無線の運用が事実上できなくなっている場所が少なくない。
また、スカイレジャー(パラグライダー、ハンググライダー、バルーン等)などの業者による法規を逸脱した業務利用も問題となっている。これらはアマチュア無線技士の従事者免許、場合によってはアマチュア無線局の免許も受けている場合もあるが、コールサインをいわない等運用は違法局とまったく区別が付かない状態となっており、資格の有無を問わず事実上の違法運用状態となっている。場合によっては資格を逸脱した数百ワットから数キロワットに及ぶ高出力の無線機を取り付け電波障害を沿線に及ぼしている場合もある。国内において認可されているCB無線は、空中線電力0.5ワット以下・アンテナ一体型のもののみとなっているのにも関わらず、トラックドライバー等が使用しているCB無線は外部アンテナが取り付けられている違法なものが散見されている。本来気軽に雑談をするための無線とアマチュア無線では根本的に目的が異なり、同一の無線種別の中でくくる事はきわめて困難。この状況は世間に対するアマチュア無線のイメージが CB 無線等の悪評までも引き継ぐ事になり、違法運用、電波障害の原因、ガラが悪いなどの誤解が全アマチュア無線家に向けられる可能性がある。このことは、周波数防衛を考えた上で、対世間的に非常に好ましくない事態といえる。 そのため、総務省・各総合通信局及び日本アマチュア無線連盟(JARL)では、そのようなことが起こらないように、啓蒙活動や各種指導などに励んでいる。詳しくは、http://www.jarl.or.jp/Japanese/7_Technical/denshou/kankyo.htm
日本アマチュア無線連盟(JARL)「電波環境・不法局関連」にある各種リンクを参照されたい。
一般放送などに与える影響等の問題
時としてテレビ・ラジオあるいは他の無線装置等にアマチュア無線の電波が妨害を与えることがあり、「i」(アイが出た=インターフェアが発生した)と表現される。基本的にはアマチュア無線の使用する周波数と他の機器とは干渉せず、またアマチュア局側がそのような状態にならないよう、細心の注意を払って調整している(万が一障害が発生した場合は直ちに送信を中止しなければならない旨、法令に定められている)が、時としてテレビ・ラジオ・パソコンなどに雑音等の影響を与えることがある。これは主に送信機とアンテナのマッチングが何らかの影響で不整合を起こしたり、AC電源に同調してしまうこと、高調波によるものなどである。上記の違法局や違法運用局(オーバーパワー)が発生させる程ではないが、皆無ではない。この問題に悩むアマチュア無線家も存在するが、良識あるアマチュア無線技士はそれらを回避する対策を取っている。こういった問題の原因究明や対策もHAMには一つの研究材料となりうる。
非常通信に関する問題
非常通信は、本来「最後の手段」として緊急避難的な措置であるべきだが、実際の運用に関して、日本アマチュア無線連盟の通常総会を初め、アマチュア無線家内でも、肯定的および批判的議論がある。具体的には、阪神淡路震災で行なわれたとされる、無免許者による避難所間の連絡のためのコールサインを用いずに名前で呼び合う通信に関しての論議や「山岳遭難」で用いられた場合に関する事柄などである。
フォーンパッチに関する問題
上記の通り、一定の範囲内であればアマチュア無線機と商用通信網の接続が認められるようになった。基本的にはアマチュア無線家同士が、途中に有線用の電話機から公衆回線を通じたアマチュア無線機を使用して運用する形態なのだが、有線端末で本来の通信相手ではない者と交信してしまう可能性も否定できない(第三者通信)。日本では第三者通信は、災害時など特例を除き許可されていないため問題発生の危惧を払拭できない。
電力線搬送通信(PLC)に関する問題
電力線(家庭用100V商用電源)を介してのインターネット接続は、電源自体に変調を載せるため、アマチュア無線をはじめ、天文観測や短波放送局などの関係者には無線機器へのノイズの影響が懸念されている。しかし、日本では架線の電力線ではなく、ネットワーク端末の近い場所から低出力で配信するため、影響は少ないと見られている。JARLや関連団体が共同でPLCの影響を調査研究しているが、全く問題が無いとはいえないが、先述のようにオフィスや家庭の「入り口」部分からの送信により、影響を極力少なくなるよう研究されている。
参考文献
関連団体
出典 脚注
関連項目
電波関連
外部リンク
電子政府 電波法
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◆アマチュア無線についてピックアップ カーナビ、Vicsの普及により、正確な道案内をしてもらうことができるようになった。 自作PC|PCの自作が行われるようになり、プログラミング等まで含めるとその奥深さによって電子機器類マニアや自作マニアの気持ちをかなり満たしてくれるようになった。また他の趣味の存在に配慮した場合にも、やはり「趣味の王様」の呼称を使うのにはいささか問題がある「趣味の王様」という呼... |




